建築史家の枠を超えて、設計者(建築家)としても有名で、今春、東京大学を定年退職された藤森照信氏の『人類と建築の歴史』(ちくまプリマー新書)。これは、家や建築に関心のある人や、建築を学びはじめた学生の方にお勧めする本です。
藤森氏は、人類の始まりから現在までの建築の歴史を、たった六歩のあゆみに要約してしまいました。こんな大胆な視点から建築を観て、語れる、建築史家は世界中でだだ一人、歴史上にもいません(きっと)
第一歩目 旧石器時代〜新石器時代(縄文時代)あたり
第二歩目 四大文明の時代(エジプト、メソポタミア、インド、中国)
第三歩目 四大宗教時代の建築(仏教、儒教、キリスト教、イスラム教)
第四歩目 十五世紀からの大航海時代
第五歩目 十八世紀からの産業革命の時代
第六歩目 二十世紀以降の現代建築
建築の姿を観てみると、
「人類が建築を作った最初の一歩目は世界中どこでも共通だった。二歩目から分化しはじめ、三歩目では世界各地で多様な建築文化が花開いた。しかし、四歩目から多様性は減退していき、六歩目にいたり、再び世界は一つになった。」
こんな、不思議で多様な人類の建築の歴史を覗いてみたくなりませんか?
同じく藤森照信氏の
『建築探偵の冒険・東京編』(ちくま文庫)サントリー学芸賞受賞
もお勧めです。